ミニバスの練習中に子どもが「痛い」と言ったら、まずプレーを止め、保護者と指導者で状態を共有します。「試合が近い」「まだ走れる」ことを、続けてよい理由にしないでください。その後は、受診が必要な状態かを確認し、練習への復帰は医師に相談する順番で考えます。
この記事は、痛みを訴えたときに保護者が連絡・相談を進めるための案内です。病名の判定、家庭での治療法、一律の復帰日数は扱いません。本人の訴えを受け止め、判断に迷う場合も医療機関に相談してください。
最初にプレーを止める。「動けるか」のテストはしない
「どこが、いつから痛い?」と、本人が話せる範囲で聞きます。「あと一本だけ」「走れたら大丈夫」とプレーを続けさせたり、確認のためにジャンプやダッシュをさせたりせず、指導者へ活動を中止したことを伝えましょう。
日本スポーツ協会(JSPO)の「発育期のスポーツ活動ガイド」p4は、痛みがあるときは休養し、改善しなければスポーツドクターの診察を受けるよう案内しています。これは「しばらく我慢して練習してよい」「決まった日数だけ待てばよい」という意味ではありません。転倒や衝突後の痛み、手足を使えない状態などは、休ませるだけで済ませず受診につなげます。
声をかけるなら「教えてくれてありがとう。いったん止めて、相談しよう」と短く伝えます。痛みを説明しきれないことや、試合に出たい気持ちがあることを理由に、訴えを軽く扱わないようにします。
救急を優先する状態と、整形外科へ相談する状態
反応や呼吸がおかしいときは119番
呼びかけに返事がない、意識がもうろうとしている、呼吸が苦しそう・弱い、けいれんが止まらないときは、すぐに119番へ通報してください。頭を強くぶつけた後に意識がない、けいれんがある、出血が止まらない場合も救急を優先します。チームへの欠席連絡や受診先探しを先に済ませる必要はありません。
消防庁の「救急車を上手に使いましょう」こども(15歳以下)に示された症状の一部です。これらだけが救急の対象ではありません。通報時は場所、年齢、起きたこと、反応や呼吸の状態を分かる範囲で伝え、通信指令員の指示に従います。
手を使わない、足に体重をかけられないときは受診へ
日本整形外科学会の「小児の骨折」は、痛みの訴えに加え、触れられると泣く、手を使わない、足に体重をかけられない場合などには、骨折を疑い整形外科を受診するよう案内しています。歩けることや関節を動かせることだけで、骨折していないと判断しないでください。
受診が必要か確かめるために、痛む場所を何度も押したり、無理に動かしたりする必要はありません。形が不自然でも、元へ戻そうとしないでください。日本赤十字社の骨折の応急手当も、安静を保つことや、曲がった部分を戻そうとしないことを示しています。具体的な応急手当や移動方法は、救急の指令員や医療者に相談します。
ここに挙げた様子がなくても、痛みが続く・繰り返す、日常の歩行や手の使用に支障がある、保護者が状態を判断できない場合は、練習を再開せず整形外科などの医療機関へ相談しましょう。「一週間待つ」など、この記事で受診までの待機期間は決めません。
受診時に伝えることを短くメモする
受診のために、保護者が原因や病名を決めておく必要はありません。本人の言葉と見ていた事実を分け、分かる範囲で残します。メモ作りで受診や救急要請を遅らせないでください。
- いつから・どこが:痛みを訴えた時刻や場所。左右も分かれば記録する。
- 直前の出来事:着地、転倒、接触など、見ていた内容。見ていなければそのまま伝える。
- その後の様子:手を使わない、足に体重をかけられないなど、実際に見られた変化。動作をさせて確認しない。
- これまでの経過:同じ場所の痛みの有無、通院歴、医師からの指示、使った薬や行った手当があればその内容。
例えば「右足首が痛いと言っています。着地の瞬間は見ていません。練習は中止しました。その後、右足に体重をかけようとしません」と伝えます。これは記録の書き方の例で、特定のけがを判定するものではありません。
コーチには、欠席の連絡と復帰の相談を分けて伝える
その日の参加を止める連絡で、次の試合に出られるかまで決める必要はありません。「受診して確認すること」と「チームに伝えてほしいこと」を短く共有します。詳しい健康情報の連絡先は、担当の指導者など必要な相手に絞りましょう。
子どもが○○に痛みを訴えているため、今日の練習は中止します。医療機関へ相談し、参加できる活動と避ける活動を確認してから改めて連絡します。現時点では、次の練習・試合への参加は約束できません。練習中に転倒や接触などがあったか、見ていた範囲を教えていただけると助かります。
家庭で書き換えて使う文面例です。指導者に病名や復帰の可否を判定してもらうための連絡ではありません。指導者が見ていた状況は医師への説明に使い、活動の可否は医師に確認します。
復帰日は先に決めず、医師に活動ごとの条件を聞く
受診時には「ミニバスをしています」と伝え、走る・跳ぶ・接触する練習や、学校の体育について、参加できる範囲を確認しましょう。「運動してよい」という説明があっても、どこまでを含むか分からなければ、その場で尋ねます。
- いま参加してよい活動と、避ける活動は何か。
- 練習量や強度を変更する条件は何か。誰に確認して進めるのか。
- 再診や、練習への復帰を相談する機会はいつか。
- 再び痛みが出た場合は、どう連絡し、どのように受診すればよいか。
これらは医師に聞くための質問であり、復帰の合格基準ではありません。「何日休めば復帰できる」「痛みが一度なくなれば試合に出られる」と家庭で一律に決めず、診察を受けた子どもの状態に応じた指示を確認します。
指示を保護者からコーチへ共有し、実際の練習で対応できるか相談します。見学や一部参加についても、医師に確認した範囲と本人の状態を踏まえて決めましょう。復帰後に再び痛みを訴えたら、その活動を止め、医師に伝えます。大会の日程に合わせて復帰の約束を先にしないことが大切です。
次の練習までに、相談内容を家族と指導者で共有する
痛みを訴えた日は、プレーを止める、必要な受診につなぐ、復帰条件を医師に聞く、という順番を確認します。子どもに我慢して続けさせず、保護者が連絡を引き受けましょう。
通院後は、医師に確認した内容、次の相談先、チームへの連絡事項を残します。痛みのある日の対応を、退会するかどうかや普段の練習日数を決める話と一度にまとめず、まず当日の安全と医療相談を優先してください。
診察後に整骨院・接骨院にも相談するか迷う場合は、医師に次の通い方を確認したうえで、医療機関と施術所の役割・費用・保険の確認事項を使って整理してください。急な症状の受診や救急要請を、この比較のために遅らせないでください。

