スクリーンがうまく使えないときは、かける人の立ち位置だけを見直しても解決しないことがあります。使う人が準備前に動き出していないか、守備が避けたあとも予定した道を進もうとしていないか、二人の行動を分けて確認しましょう。
この記事は、初めてスクリーンを練習する人に向けて、二役の準備、開始するタイミング、使わずに戻す判断を整理します。守備なしの2人練習から、攻撃2人と守備1人の限定練習へ進める手順が中心です。5人全員の戦術や、守備2人が連携する対応は扱いません。
接触の条件はFIBA Official Basketball Rules 2024 v1.0aを参照します。2026年版の規則全文を確認した解説ではないため、試合では大会の採用規則と指導者・審判の説明を確認してください。練習では相手へぶつかることを成功条件にせず、周囲と進路を確かめて始めます。
スクリーンとは?かける役と使う役を分ける
スクリーンは、ボールを持っていない相手が進みたい場所へ移動するのを遅らせたり、防いだりするプレーです。味方が動く機会を作るために行いますが、相手を押しのけることとは違います。
味方のために位置を取る選手を、この記事では「かける役」と呼びます。その位置を利用して移動する味方を「使う役」と呼びます。使う役がボールを持っているものがオンボールスクリーン、持っていないものがオフボールスクリーンです。
この記事の練習は、ボールを持つ選手が使うオンボールを例にします。二役の呼び名をそろえると、「スクリーンが失敗した」という一言を、位置の準備、開始、使用後の行動へ分けて振り返れます。
| 役割 | 最初に確認すること | やり直す場面 |
|---|---|---|
| かける役 | 使う側と場所を共有し、止まって準備する | 使う役が動き出す前に位置を決められない |
| 使う役 | 準備と進路を確かめてから動き出す | 相手が避ける余地や進む空間がない |
| 二人共通 | 次の行動を一つに決めつけない | 別の利用者と交差する、意思が合っていない |

相手がスクリーンを避けたからといって、必ず失敗とは限りません。使う側に別の進路ができた場合もあります。反対に、体がぶつかったことだけで成功と評価しないでください。位置を取る条件と、そのあと空間を使う判断は別に確認します。
スクリーンの種類をチーム全体の攻撃へ広げたいときは、バスケ戦術完全ガイドを参照してください。まずは一つのスクリーンで二人が何をするかをそろえます。
かける役は、使う前に準備を終える
練習を始める前に、二人で使う場所と進む側を確認します。「右」と言うだけでは、自分の右か相手から見た右かが食い違う場合があります。ゴールやサイドラインなど、二人が同じものを見て場所を説明してください。
かける役は、使う役を追いかけながら位置を作るのではなく、先に予定した位置で止まって準備します。使う役は、足が動いている途中をすぐ通過しません。最初の練習では「準備できた」と声で知らせ、相手が確認してから始めるようにすると、どちらが早く動いたかを見つけやすくなります。この合図は練習用の編集提案で、試合中の唯一の合図ではありません。
腕や脚を大きく広げればよいわけでもありません。相手の通過を手で止める、服や腕をつかむ、横へ追いかけてぶつかる、という動きにしないでください。位置が合わなければ、無理に止めるより一度やり直します。
かける役の仕事は、位置を取ったところで終わりではありません。使う役が通過したあと、次にどこを空けるか、パスを受けられる場所へ動くかを確認します。ただし、守備を止めるために動き続けることと、スクリーンを終えて次の位置へ移ることを混ぜないようにします。
使う役は、予定した道より今の空間を見る
使う役は、スクリーンが来たら必ず同じ方向へ進む、という約束だけで練習しないことが大切です。最初は決めた道で準備を合わせますが、守備を加えたら、目の前の進路を確認する課題へ変えます。
まず、かける役が準備できているかを見ます。準備前に進み始めると、かける役が追いかけて場所を変えたくなり、二人のタイミングが崩れます。守備なしの練習で先にこのズレを見つけましょう。
次に、自分の進路と、その先の空間を見ます。スクリーンの近くを通ることだけに集中すると、正面にいる守備や別の選手に気づくのが遅れます。近くを通す練習でも、体をぶつけてすり抜けることを目的にせず、指導者と通る範囲を確認してください。
準備が合わない、空間が閉じている、周囲と交差しそうという場合は、使わずにボールを守る、いったん止めて配置をやり直すという選択もあります。スクリーンを使う回数を増やすために、無理な進路を選ぶ必要はありません。
使ったあとも、次のプレーを最初から決めつけません。自分が進める空間があるのか、かけた味方へのパスが通るのかを見ます。パスの受け渡し自体に課題がある場合は、パスの基本と練習方法で、走る味方へ届ける位置を確認できます。
接触の条件は「止まっていればよい」だけではない
FIBA2024 Article 33.7では、接触時に自分のシリンダー内で静止し、両足が床についていることを合法なスクリーンの条件として示しています。相手の視野外や移動中に位置を取る場合は、相手が避けられる時間と距離も関係します。
視野外の静止相手には、接触せず通常の1歩を踏み出せる間隔が必要です。動いている相手には、止まるか方向を変えて避けられる空間を与え、必要な距離を通常の1〜2歩とする記述があります。固定の「何cmなら安全」という説明へ置き換えないでください。
これは接触の条件の一部を整理したもので、審判の判定を代わりに行う表ではありません。止まるだけであらゆる接触が許される、ぶつかった側が必ず悪い、という解釈にしないでください。練習では、合法な接触をわざと起こすより、位置とタイミングを確認することを優先します。
押す、つかむ、腕や脚を伸ばして進路を塞ぐ動きには注意が必要です。接触の説明を理解できない段階で速い攻防へ進まず、指導者と位置を確認します。反則後の再開や参照する規則の版は、バスケの基本ルールと大会の案内で確かめてください。
2人から3人へ進める練習手順
次の練習は、二役の準備と判断を確認するためのJapan Hoops編集部の段階案です。公式プログラムの人数や時間をそのまま再現したものではありません。指導者が見られる場所で、接触を避けられる速さから行います。
1. 2人・守備なしで準備と開始を合わせる
かける役1人と、ボールを持つ使う役1人で行います。ゴール方向と進む側を決め、かける役が予定した位置に立ちます。使う役は少し離れたところで待ち、準備の合図を確かめてから、予定した道を歩く速さでドリブルして進みます。
ここには守備者がいないため、スクリーンで相手を止められたかは確認できません。見るのは、位置を決める前に使う役が動いていないか、合図が伝わったか、使ったあとに二人の進路が重ならないかです。
終わったら役割を交代します。「自分は準備できたと思ったが、味方はまだ動いていると見ていた」といった認識の違いを話します。合図が合わない場合は速さを上げず、同じ条件でもう一度確かめます。
2. 3人・守備1人で進路を確認する
攻撃の二役に、使う役を守る選手1人を加えます。守備者は指導者の説明を受け、歩く速さで動き、意図的な衝突や強い取り合いは行いません。かける役も、動く守備を追いかけてぶつかる練習にしないでください。
まずは守備がどちら側を通るかを事前に決め、使う役がその動きと進む空間を見られたかを確かめます。準備前に動く、相手が避けられる場所がない、二人の間隔が合わない場合は止めてやり直します。
そのあと、使う役の前へ守備が戻る場合と、かけた味方のほうへ守備が寄る場合を、指導者と一つずつ試します。使う役は自分の進路と味方へのパスコースを見て、進む、味方へ渡す、使わずに戻す判断を選びます。どの場面でも必ずパス、必ずドライブ、という課題にはしません。
この3人練習は、二役と守備1人の位置関係を観察する限定練習です。かける役を守る2人目の守備者はいません。スイッチやヘッジなど、守備2人の連携を試合どおりに再現した練習ではない点を共有してください。
3. 成功回数と準備の確認を分ける
シュートが入ったか、パスが通ったかだけで判定しません。練習後は、次の記録表で一つの場面を振り返ります。すべての項目を毎回採点する必要はなく、次に直すものを一つ選ぶために使います。
| 観察した場面 | 二人で確かめること | 次に試すこと |
|---|---|---|
| 位置を作る前に使い始めた | 準備の合図がいつ伝わったか | 守備なしで合図と開始を合わせる |
| かける役が横へ追いかけた | 予定した位置がどこだったか | 場所を共有し、合わなければやり直す |
| 守備が戻っても進み続けた | どの進路が閉じていたか | 進む前に空間を見て、戻す選択も試す |
| 味方と同じ場所へ動いた | 使用後の二役の進路 | 次の受け渡し場所を一つ決めて確認する |
記録例は「準備の合図より先にドリブルを始めた。次は守備なしで開始をそろえる」のように、観察した事実と次の課題を分けます。「自分はスクリーンが下手」とまとめるより、次に二人で何を確認するかが明確になります。
公式の練習例と、この段階案の違い
ENEOSの知立クリニック実施記録では、スクリーンのかけ方と使い方を教え、実践でタイミングを重視し、守備を見ながら判断する課題を扱っています。この記事では、その課題を二役で確認しやすい順番へ分けています。
Jr. NBA「Starter Practice Plan 10」のWing Open and Decideは、スクリーン後に動いた選手が、守備を見て空いた味方へパスする練習です。攻撃4人と守備1人から始まる構成であり、この記事の3人練習と同じ人数・配置ではありません。
二人のタイミングが合うことと、複数の守備に対して適切なプレーを選べることは別です。少人数の練習ができたから、試合の守備対応をすべて理解したと考えず、次の段階はチームの指導者と決めてください。
体育館で練習する際は、使える範囲と床の状態を先に確認します。足元の用具を見直す必要があるときは、バッシュの選び方で、足と施設条件に合うことを確認してください。
よくある質問
スクリーンは体をぶつけるプレーですか?
相手への衝突を練習の目的にしません。位置の準備、相手が避けられる条件、使う役の進路を確認します。接触の条件は参照する競技規則と指導者の説明に従ってください。
止まれば必ず合法ですか?
それだけでは判断できません。FIBA2024の参照条件では、接触時の状態に加え、相手の視野や移動中の時間・距離も関係します。本文の条件を一つだけ抜き出して使わないでください。
2人だけでも練習できますか?
守備なしで二役の配置、準備の合図、開始、使用後の進路を確認できます。守備を止めた効果や守備の連携を確認したことにはならないため、対人練習とは分けます。
3人でスイッチへの対応も練習できますか?
この記事の攻撃2人・守備1人では、守備2人のスイッチは再現できません。必要な人数と守備の役割を指導者に確認し、別の段階で取り組みます。
スクリーンを使わないのは失敗ですか?
準備が合わない、空間がない、周囲と交差する場合は使わずに戻す判断もあります。使った回数より、二人が何を見て選んだかを確認してください。
まとめ
スクリーンの練習は、かける役が位置を準備し、使う役が確認して動き始めるところから進めます。2人でタイミングをそろえたあと、守備1人を加えて進路を見る課題へ移りましょう。衝突や成功回数だけを評価せず、使わない選択も含めて観察し、次に確認する場面を一つ決めます。
参考資料
- FIBA Official Basketball Rules 2024 v1.0a:Article 33.7・33.9。接触の条件の確認に使用。2024年10月1日有効の版。
- ENEOS 愛知(知立)クリニック実施記録:二役のタイミングと守備を見た判断を課題とする根拠。2011年の実施例であり、現在の募集案内ではありません。
- Jr. NBA Starter Practice Plan 10:Wing Open and Decideの人数と判断課題の確認に使用。本稿の2人・3人練習は編集部の段階案です。

