パスが欲しくて手を出しているのに、守備者にコースをふさがれて受けられない。そんなときは、同じ場所で呼び続ける前に、味方がパスを出せる状態か、守備者がどこを守っているか、動く先が空いているかを確認しましょう。
オフボールとは、ボールを持っていないときのことです。この記事では、その中でも「自分がパスを受ける前の動き」に絞り、Vカットとバックドアを使い分ける考え方、3人から試せる練習を紹介します。部活動でも社会人チームでも、実際の配置と約束事は指導者やチームで確認してください。
パスをもらう前に見る3つ
まずは「ボール・守備者・行き先」を見ます。動くこと自体が目的になると、味方のドライブコースに入り込んだり、パスが出せないタイミングで走り始めたりします。
| 確認すること | 見るポイント | 次に試すこと |
|---|---|---|
| ボールを持つ味方 | こちらを見られるか。守備に強く迫られていないか | パスを出せる向きかを確かめてから動き始める |
| 自分を守る相手 | ボールと自分の間のパスコースをふさいでいるか。自分の動きについてくるか | 受けたい場所へ直進するだけでなく、方向と速さを変える |
| 動く先 | 味方や別の守備者がいないか。味方が同じ場所へ入ろうとしていないか | 空いている経路を選ぶ。重なったら受ける場所を作り直す |
この表はプレーの正解を固定するものではありません。例えば、自分の守備者の裏が空いていても、ゴール下に別の守備者がいれば、そのままパスを要求できるとは限りません。
Vカットは、方向と速さを変えて受ける場所を作る
Vカットは、一度ある方向へ動き、角度を変えて別の方向へ動くカットです。FIBA/WABCの指導資料では、パスコースを作るために、守備者との足の位置関係と速度変化が重要だと説明しています。文字のVをなぞることだけで終わらせず、守備者との位置関係を確かめます。出典:WABC Coaches Manual、冊子32ページ
練習では、ウイングから一度ゴール方向へ動き、外側へ角度を変えてパスを受ける形から試せます。この記事の練習では、ゴール正面から左右斜め前にある、フリースローラインを左右に延ばしたあたりの3ポイントライン付近を、ウイングの開始位置にします。守備者の反応を見ながら、方向を変える場所と、受ける位置を調整してください。
外へ戻ったとき、守備者が同じ距離でついてきていれば、パスコースはまだ開いていないかもしれません。手を出しただけで投げてもらうのではなく、ボールと自分を結ぶ道に守備者がいないかを確認します。腕で押したり、相手を引っかけたりして離れようとしないでください。
パスコースを強く消されたら、バックドアも候補にする
バックドアは、パスを受けさせない守りに対して、守備者の背後からゴール方向へ切り込む動きです。WABCの説明では、外側へ動いてパスの目標となる手を見せてから、ゴールへ切り込みます。出典:WABC Coaches Manual、冊子17ページ
ただし、「守備者が前に出たら必ず裏へ走る」という一つの決まりにはしません。次の3点を合わせて確認します。
- 味方が自分の動きを見て、パスを出せる状態か。
- ゴール方向への道に、味方や別の守備者がいないか。
- チームの配置や、その場面での動き方に合っているか。
ゴール下が混んでいたり、味方が同じ道をドライブし始めたりした場合は、強引に入りません。パスを受けられなかった後もゴール下に残り続けず、味方と重ならない場所へ移るなど、次の配置をチームで確かめましょう。
動画で比較:外へ戻るVカットと、裏へ切るバックドア
FIBA公式チャンネルの「Offensive cuts」で、2つの動きを見比べられます。0:27〜1:12はVカット、1:13〜1:43はバックドアの説明と実演です。
出典:FIBA Basketball「Offensive cuts」(2023年10月17日公開/SportsEdTV教材の表記あり/英語)。
見るポイント:受け手と守備役の前後関係が変わったとき、パス役から受け手への道がどちらに開くかを確かめます。外への道を守られた場合も、裏の空きとパス役の状態を合わせて見てください。
動きを言葉で確認:Vカットは、ゴール方向へ動いてから角度を変えて外側へ受け直す例です。バックドアは、外側のパスコースを消されたときに、守備者の背後からゴール方向へ切り込む候補です。どちらも、味方が投げられる状態か、移動先が空いているかを合わせて確認します。
動画を見られない場合も、次の3段階で開始位置と守備の動きを分けて確かめられます。以下は本記事独自の練習案で、動画と同じ段階メニューを再現するものではありません。
3人から始める、受ける前の判断練習
以下は、用語と考え方を練習へつなげるための本記事独自の段階案です。WABC指定の練習量や公式メニューではありません。ボール1個、パス役1人、受け手1人、守備役1人で行います。使う範囲と移動経路を先に決め、他の練習と交差しない場所を使ってください。
最初は守備役が外から確認します。パス役はゴール正面の外周、3ポイントライン付近のトップに立ち、受け手は左右どちらかのウイングから始めます。受け手は一度ゴール方向へ動き、角度を変えて外側へ戻るVカットを試し、パス役が投げられる向きになったところで受けます。左右を交代し、キャッチまででいったん止めて、毎回この開始位置へ戻ります。
確認するのは速さより、「受け手がパス役を見ていたか」「投げる前に受ける場所が伝わったか」です。キャッチそのものが難しい場合は、まずパスの基本と受ける側の準備へ戻りましょう。
パス役と受け手は段階1と同じ場所から始めます。守備役は受け手とゴールの間に、接触しない距離を取って立ちます。これは比較しやすくするための本記事の練習設定で、試合中の守備位置を一律に指定するものではありません。次の2条件を先に共有し、接触せず、ゆっくり一つずつ試します。
図の読み方:図は、守備役を入れる段階2・3の開始位置の例です。P(パス役)はゴール正面の3ポイントライン付近、R(受け手)はフリースロー線を左右に延ばしたあたりのウイング、×(守備役)は受け手とゴールの間から始めます。非縮尺です。接触しない間隔を取り、段階1では守備役は外から確認します。

- 条件A・動きについていく:守備役は受け手とゴールの間から始め、受け手がゴール方向へ動いた後、外側へ受け直す動きにもついていきます。
- 条件B・外側のパスコースを消す:同じ開始位置から、受け手が外側へ受け直すときに、パス役と受け手を結ぶコースへ先回りします。
受け手は、守備者がどちらへ動いたかと、外側・ゴール方向それぞれの空きを見ます。条件Aなら必ずVカット、条件Bなら必ずバックドアと固定せず、コースがなければパスを見送ります。
受け手はプレーの後に「外側をふさがれた」「裏へ動く道が空いていた」など、見えたことを一つ話します。パス役も「出せた」「守備者が間にいて出せなかった」を伝えます。予定したカットができたかだけでなく、2人に同じ道が見えていたかを確かめてください。
3人とも段階2と同じ開始位置に戻り、守備役は条件A「動きについていく」か条件B「外側のパスコースを消す」を、受け手へ先に知らせず選びます。受け手はVカットで受ける、バックドアを狙う、受ける場所を作り直す、の中から状況に合うものを試します。パス役も、コースがなければ投げません。
まずはキャッチまでで区切ります。次の練習でシュートまで進める場合は、ゴール周辺の経路を確保し、別の練習と交差しないようにします。受けた後の攻め方は1対1の抜き方と判断へつなげられます。
受けられない原因は、動き・タイミング・場所に分ける
| 起きたこと | 見直す点 | 次の練習で変えること |
|---|---|---|
| Vカット後も守備者が目の前にいる | 方向と速さを変えた前後で、相手との位置関係が変わったか | 一度、ゆっくり動いて方向を変える場所を確認する |
| 空いたのにパスが来ない | パス役が見ていたか。投げる向きだったか | 2人で動き出す前の視線を合わせる |
| バックドアで味方と重なる | 自分の守備者だけを見ていなかったか | 動く前に、ゴール付近と味方の進路を見る |
| パスを受けずに止まってしまう | 次に空ける場所が共有されているか | 受けられなかった後の移動をチームで確認する |
記録するなら、キャッチできたかに加え「何を見てその方向へ動いたか」を一言残します。パスが来なかった1回だけで失敗と決めず、コースが開かなかったのか、タイミングが合わなかったのかを分けて振り返りましょう。
よくある質問
- Q. オフボールは、走り続ければよい?
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ずっと走り続ける必要はありません。味方が使う場所を空けることや、受けられる位置で準備することも大切です。動く量だけでなく、自分が動いたことで誰の道が空いたか、逆にふさがったかを見ます。
スクリーンや手渡しを使って受ける動きは、この記事のカットとは準備が異なります。スクリーンの二役と練習、ハンドオフの渡す・受ける動きを、それぞれの目的に合わせて確認してください。
5人の配置やスペーシング全体はバスケの戦術ガイドで扱っています。
次の練習では、ボール・守備者・行き先の3つを見てから動いてみましょう。Vカットやバックドアという形を覚えることと、パスを受けられる状況を選ぶことを、セットで確かめていきます。

